【上海快報】 中国赴任者(駐在員)の赴任に伴う注意事項について

日本本社より中国の現地法人や駐在員事務所に中国赴任者(日本人を想定)を派遣する場合、中国側では、赴任前、赴任後に各種の手続きが必要となります。今回は、中国への赴任に当たって必要となる諸手続きと注意事項を整理します。

1.工作許可

中国赴任者は、中国法人もしくは駐在員事務所などで“就業”することが目的となります。そのため、中国赴任者が中国大陸戸籍以外の者で、永住許可を保有している場合でない限りにおいて、中国に赴任するに当たっては必ず就業にかかわる許可(以下、「工作許可」とします。)を取得する必要があります。

工作許可の取得には、赴任前の“事前審査”と赴任後の“事後審査”が必要とされます。赴任に当たって中国に入国するためには、一部の例外を除いてZビザ(工作目的査証)を取得しなければなりませんが、Zビザの申請に先立って、「工作許可」の“事前審査”が行われていることが必須となります。“事前審査”は、赴任先の中国企業が赴任地の外国人就業管理部門において申請手続きを行い、審査が完了すると「工作許可通知」が発行されます。Zビザは、この「工作許可通知」が発行されていることを前提として申請が可能となります。また、赴任のために中国に入国した後、30日以内に“事後審査”を完了したうえで、「工作許可証」の発行を受ける必要があります。現在では「工作許可証」は全国統一様式のカード形式で発行されます。

なお、「工作許可」の申請には、犯罪経歴証明、学位証明(最終学歴証明)等の証明資料(以下「証明文書」とします。)が必要とされており、これら文書について、文書発行国(または地域)に所在する中国大使館(もしくは総領事館)で“認証”手続きを経る必要があるものとされています。証明文書は、“事前審査”においてはコピーの提示のみで足りることとされていますが、日本国においては、犯罪経歴証明は開封無効とされていることから、少なくとも中国大使館(もしくは総領事館)における“認証”手続きが完了するまでの間は開封して“事前審査”のために提示することができません。この点で資料準備にかかる時間が長期化し、Zビザを取得して中国に赴任する時期が遅延する要因となるケースが見受けられます。

◆中国赴任に向けた手続きの流れ(概要)

1.証明文書の準備(文書発行国)
2.工作許可の事前審査(工作許可通知の発行)
3.Zビザ申請(所在地国)
4.中国への入国
5.臨時住宿登記
6.工作許可の事後審査(工作許可証の発行)
7.居留許可申請

2.居留許可

中国赴任者が中国大陸戸籍以外の者で、永住許可を取得している場合でない限りにおいて、中国で長期滞在(90日以上)をするためには、「居留許可」の申請が必要となります。赴任者の場合には、「工作許可」を取得していることを前提として、工作目的の「居留許可」が発行されます。なお、この「居留許可」は、一定の住所を定めて居留を認めるものであるため、「居留許可」の申請にあたっては、住所登録が必須となります。住所登録については、外国人は入国後24時間(もしくは48時間)以内に宿泊住所を管轄する派出所において「臨時住宿登記」を行わなければならないこととされています。「居留許可」の申請にあたっては、この「臨時住宿登記」表により住所登録の確認が行われますが、この時点で「臨時住宿登記」が行われていないことが発覚した場合には、住所登録に関する手続義務違反があるものとして行政処罰が行われることになるため注意が必要です。

なお、中国赴任者が、上記手続きを経て「居留許可」を取得する以前に出張で中国に入国している場合も多く見受けられます。このような出張に当たって、赴任予定先の現地法人もしくは駐在員事務所を訪れ、これら組織の業務遂行を行われる場合が見受けられますが、上記手続きを経て「居留許可」を取得する以前に中国国内の組織での業務遂行を行う場合には、目的外滞在(許可された入国目的と実際の滞在中の行為が相違する)として処罰を受けることになります。中国赴任に当たって「居留許可」を申請する際に、当局において過去の入国履歴についても確認を受けるということもしばしば発生しているため、この点についても注意が必要といえます。

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