【国際税務教室】 国際連帯税とは(グローバルタックスの一形態)

 初回の要望(平成22年度)から11年目となる今年も、外務省から「国際連帯税(国際貢献税)」の創設を望む税制改正要望が出されています。国際連帯税とはどのようなものでしょうか。

 国際社会では、各国・地域間格差の存在や5歳未満児の死亡率等、残された課題が指摘されています(※1)。従来、このような地球的規模の課題に対処するための資金は、各国の政府開発援助(ODA)により賄われてきました。しかし、そのような伝統的ODAのみでは十分な資金量とはならないという認識から、国際連帯税という革新的なメカニズムが提唱されています。

 従来から、グローバリゼーションの受益者である経済主体の国境を越えた活動に課税するといった、グローバルタックスという考え方(※2)が存在していました。国際連帯税はその一つの形態といえ、グローバルな課題に国際社会が協働して対応するため、国際航空、国際金融取引、国際電子商取引といった国際取引に課税を行い、その税収の一部もしくは全部を「地球的規模課題を扱う国際機関等」へ拠出するシステムとされます(※3)。

 国際連帯税は2002年の国連開発資金会議(モンテレイ)での議論をもとに、航空券連帯税として2006年にフランスで導入されたのを皮切りに、韓国等複数の国で導入され、UNITAID(ユニットエイド:国際医薬品購入機関)(※4)へ資金拠出されています。また、国際金融取引に課税を行うといった金融取引税(FTT:Financial Transaction Tax)の導入にも、各国の関心が注がれています。

(※1)「ミレニアム開発目標報告書2015」国連、(※2)1970年代に提唱された「トビー税構想」、(※3)グローバル連帯税フォーラムHPより、(※4)途上国の3大感染症治療のための医薬品や診断薬を購入する機関。

最近の記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事
PAGE TOP