【国際税務教室】 非居住者の国内源泉所得の取り扱い

 外国の企業に機械のメンテナンスやシステムの改修を依頼し、それを受けて、外国企業の社員が短期間一時的に来日し、日本国内において役務提供を行う場合があります。そのような場合、来日した外国人の日本における税金の取り扱いについてみれば、以下の通りとなります。

 日本国内に居住することとなった外国人の場合、実務的には日本における在留期間が契約等により、あらかじめ1年未満であることが明らかであるか否かによって、その者の住所(生活の本拠)を推定する(※1)ことから、あらかじめ定められた在留期間が1年未満であれば、所得税法上、非居住者として扱われます。非居住者の課税所得の範囲は国内源泉所得とされることから、当該外国人が母国で受給する給与であっても、当該給与の(日本)国内勤務に対応する部分は、国内源泉所得であることから所得税の課税対象となります。

 一方、外国人の居住地国と日本との間に租税条約が締結されている場合には、短期滞在者免税の適用について検討を行う必要があります。具体的には、条約に規定される①滞在日数基準(いわゆる183日ルール)、②支払地基準、③負担基準といった三つの基準すべてを満たす場合には、一定の手続をとることにより免税となります。

 他方、条約に規定される日数を超えて滞在をしているなど、短期滞在者免税の適用が受けられない場合や、外国人の居住地国と日本との間に租税条約の締結がない場合には、免税とならないことから、注意が必要です(※2)。(※1)所得税基本通達3-3 (※2)当該給与が非居住者にかかる源泉徴収の適用を受けないものである場合には、納税管理人を選任した上で、準確定申告の提出と納税が必要となります。

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