【国際税務教室】 国外居住親族に係る扶養控除の見直し

  令和2年度税制改正により、国外居住親族に係る扶養控除の適用要件が見直されます。

 所得税法上、扶養控除の適用対象は、①生計を一にする配偶者又は親族等(以下、「親族等要件」とします)の中で、②合計所得金額が48万円以下の者(以下、「所得要件」とします)とされています。扶養控除の対象者は居住者に限定されず、国外に居住する親族についても、①及び②の要件を満たしていれば対象となります。国際化の進展に伴い親族が国外に居住しているといったケースが増大する中、従来から、それら国外に居住する親族に係る扶養控除の適用については、控除対象の要件を満たしているか否かの確認が困難であるといったことが、課題とされてきました。過去の調査によれば、10人を超える扶養親族を控除対象としている者も散見されたことから、平成27年度税制改正により、親族等要件を満たす証明書類(「親族関係書類」、生活費等の「送金関係書類」等)を、給与支払者に提出(又は提示)することが義務付けられました。

 他方、所得要件については、(日本の)国内源泉所得のみで判定されることから、国外で一定の所得を稼得していたとしても扶養控除の対象となり、依然、問題として指摘されてきました。これを受け、令和2年度の税制改正により、非居住者である親族について、A「留学生」、B「障がい者」、C「送金関係書類において、居住者からの38万円以上の(生活費等の)送金等が確認できる者」を除く、D「30歳以上、70歳未満の成人」が、扶養控除の対象から外されることになりました 。この改正は、令和5年(2023年)1月1日以後に支払われる給与等、及び令和5年分の所得税から適用されることになります。

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