【国際税務教室】 租税条約に用いられる用語の解釈(用語の定義)

  今国会(第201国会)において、アルゼンチン共和国、ウルグアイ東方共和国、ペルー共和国、ジャマイカ、ウズベキスタン共和国、モロッコ王国との間の租税条約(二国間条約)の締結が承認されました(※1)。

 租税条約とは、国家間の課税権の調整を目的として締結されるもので、具体的には、①国際的二重課税の排除、②課税権の配分、③脱税及び租税回避の防止を目的に、国と国との間で結ばれる二国間の租税条約と、複数の国との間で結ばれる多国間条約の二種類が存在します。

 租税条約の適用に際して、租税条約の規定を解釈する必要が生じます。その場合、租税条約に使われている用語の意味について迷うことも少なくありません。租税条約に用いられている用語は、日本の法令の用語と同一のものとして解釈をしてもよいのでしょうか。

 例えば所得税法においても条文上で用いる用語の定義を行っているように、各租税条約の中においても、租税条約で用いられるそれぞれの用語に関する定義を規定する条項が置かれています。したがって、その定義に従い解釈を行います。しかし、すべての用語の定義が置かれているというわけではなく、定義が置かれていない用語も存在します。その場合には、通常、条約の中で、文脈によって別に解釈する場合を除いては条約を適用する国の国内法の定義による旨の規定が置かれていることから、租税条約の適用を行う国(※2)の国内法により解釈を行います。

(※1)相手国においても国内手続きに従って承認を受けた後、承認を通知する外交上の公文の交換の日の後30日目の日に効力が生じます。(※2)租税条約では、通常、二重課税が発生する所得について、所得源泉地国(非居住地国)での課税を免除もしくは制限することにより二重課税の調整を行うことから、所得源泉地国の税法に従うことになります。

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