外国人の入国禁止措置に伴い注意すべきポイント について

新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な感染拡大に対して、中国では3月28日以降、外国人の入国を原則として禁止する措置(以下、「外国人入国禁止措置」とします。)が取られています。3月27日以前に合法に中国に入国していた外国人については比較的緩やかにビザや居留許可の延長が認められていますが、この期日までに中国に入国していない外国人については、現段階ではいつになったら入国が認められるのかが明確にならない状態が続いています。今回は、入国禁止措置に伴い注意すべきポイントについて概説します。

1.3月28日以降の中国への入国方法

今回の外国人入国禁止措置では、3月27日以前に発給されたビザ及び居留許可は原則としてすべて暫定的に失効することとされています。また、日本国パスポート保有者に対して認められていたビザなし渡航(※1)についても運用が停止されています。

このような状況ですので、外国人入国禁止措置が解除されるまでの間に中国に入国するためには、改めて入国目的に応じたビザ申請が必要となりますが、現段階では以下の場合以外にはビザ申請を行うことができません。この点に関しては、3月27日以前に居留許可を取得している中国赴任者についても同様となります。

◇外国人入国禁止措置にかかわらずビザ申請が認められる場合

ビザ申請が認められる入国目的備考
1.必要な経済貿易、科学技術等の活動に従事する目的 (M)通常時の申請とは異なるため、必要資料については事前確認の必要あり
2.緊急の人道主義の必要に基づく目的 (F)通常時の申請とは異なるため、必要資料については事前確認の必要あり

(※1)日本国のパスポート保有者は、中国への入国目的が学習、工作(就業)、取材以外のものである場合には、停留期間が15日間以内である場合に限ってビザの申請が免除されることとされています。

2.中国国外滞在中に居留許可の期限が到来した場合

中国赴任者は、中国現地法人や駐在員事務所に所属することを前提として、工作許可証(就業許可)、及び居留許可(滞在許可)を取得することによって、中国への入国及び滞在、国内での就労が認められます。工作許可証及び居留許可にはいずれも期限が付されており、期限の到来により就労及び滞在することができなくなります。

中国赴任者が日本に一時帰国中に3月28日を迎えてしまった場合、今回の外国人入国禁止措置が解除されるまでの間に居留許可の期限が到来すると、居留許可が失効するためこの居留許可により中国に入国することはできなくなります。このような場合には、原則として居留許可書の再取得のための申請が必要となります。この点に関して上海市出入国管理局にヒアリングしたところ、このような場合であっても、期限到来から3ヶ月以内に限り、適切なビザ(※2)を取得して中国に入国したのちに期限が到来した居留許可の延長を行うことができるものとの回答を得ています。

なお、このような居留許可の延長を行う前提として、有効な工作許可証が存在することが必要となります。本レポート作成日現在、工作許可証の期限延長については、特別措置としてオンライン申請のみで手続きが完結しますので、本人が中国国内に入国できていなかったとしても申請手続きを行うことが可能な状況となっています。そのため、工作許可証については期限の到来前(3ヶ月前から申請が可能)に必ず期限延期の手続きを行っておく必要があります。

(※2)上海市出入国管理局へのヒアリングでは、原則として就業ビザ(Zビザ)を申請する必要があるものとしつつも、商業貿易ビザ(Mビザ)であったとしても手続きは認めるものと回答しています。なお、ビザなし渡航による入国の場合の手続きは認められません。

3.中国滞在中にビザの停留期限が到来した場合 外国人が3月27日までに創新企業活動や科学研究の目的でビザを取得して中国に入国していた場合、ビザに基づく停留期限が到来したとしても期限は自動的に2ヶ月延長され、期限延長の手続きを行う必要はないこととされています。この運用が、入国の目的が通常のビジネス目的で入国した外国人に対しても適用されるか否かについては必ずしも文書で明確にはされていないため、停留期限が近付いた段階で出国が想定される地域を管轄する出入国管理局に確認を行う必要があるものといえます。

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