令和元年度 査察の概要、訴訟の概要公表

6月に国税庁から令和元年度の査察の概要、訴訟の概要が公表されました。

 令和元年度の査察調査の結果としては、検察庁に告発した件数が116件(処理件数は165件)、脱税総額(告発分)は93億円にのぼります。告発件数はほぼ横ばいですが、金額は近年5年間では一番少ない形となりました。

 但し、国税庁が近年重点事案として位置付けている、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案及びその他社会的波及効果が高いと見込まれる事案の件数は全体的に増えており、特に無申告ほ脱事案は過去5年間で最も多い27件の告発となりました。なお、令和元年度中に判決を受けた査察事件の第1審判決は、124件全てに有罪判決が言い渡されております。

 一方、同じ6月に国税庁は令和元年度における訴訟の概要を公表しております。訴訟の発生件数は223件で、前年度より23.2%の増加、税目別では、特に消費税が13件から33件へと増加しておりますが、一番多い税目は所得税で76件(前年度60件)となっております。また、令和元年度に訴訟が終結した件数は216件で、このうち、国側が敗訴したものは21件(一部敗訴5件、全部敗訴16件)でその割合は9.7%となっております。前年度の国側の敗訴の割合は3.4%でしたので、その割合は大きく増加した形といえます。

 令和2年度は、春以降の新型コロナウィルスに対する感染症予防対策として、確定申告期限の延長期間まで税務調査を行わないことが決定され、税務調査の予約が入っていた先もすべて延期とされましたが、その後も6月下旬までに新規の税務調査は行われていないと言われております。税務調査の再開時期は今日現在未定ですが、7月から新たな年度を迎える国税庁も新年度は不透明な状況であることは否めないと考えられます。

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