高所得者は住宅ローン控除で得をする?

  いわゆる「住宅ローン控除」とは、個人が住宅ローンを利用して住宅の新築等をした場合に、一定の要件を満たせば、その住宅ローンの年末残高の1%(最大40万円)を所得税などから控除できる仕組みである。

 この制度は昭和47年に始まり(当初は「住宅取得控除制度」と呼ばれ、住宅ローンの有無の関係なく床面積に応じ控除額は最高2万円(最大3年)というものであった)、昭和61年には住宅ローンの年末残高を基準とする方式になり、その後も改正が繰り返され、今日の制度に至ります。

 低金利時代の今日において、この年末残高に1%を乗じた金額を控除する…という点について、実際には0.5%程度であるにもかかわらず、1%も控除することの妥当性について、会計検査院が調査したところ、住宅ローン控除を受けた者の適用金利が1%未満であるケースが約8割もあることを確認し、政府もこれを真摯に受けとめ、令和3年度税制改正大綱(2020年12月10日)において今後の議論の対象とした。これにより、住宅ローン控除は年末残高の1%ではなく、実際の支払利息額を上限とする制度へ変わってゆくでしょう。

 この改正が行われれば、例えば、本来住宅ローンを組む必要のない者(親から全額無利息で借りれる者や、潤沢な自己資金がある者など)が、逆ザヤを得るために住宅ローンを組むということができなくなるため、筆者は会計検査院の指摘に納得をしているところです。

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