2か所から給与を受ける場合の個人住民税について

  2018年1月31日に厚生労働省が定めたモデル就業規則に、副業と兼業が追加されたことにより副業が認められる風潮になり、最近では新型コロナウイルス感染症の影響により、就業規則で副業を禁止していた事業所も、従業員の生活を守るため副業を解禁し始めました。                  (ここでは、副業=ほかの事業所からの給与(従たる給与)とします)。

 副業の給与収入が20万円を超えると、確定申告をすることで、所得税と個人住民税の清算が行われ、個人住民税(主たる給与と従たる給与を合算して計算されます)は原則として主たる事業所の給与から毎月天引き(特別徴収)されます(地方税法第321条の4①④注1)。

 法律上、給与に係る個人住民税は、特別徴収を原則としつつも、実は・・・自治体によってその取扱いには温度差があります。例えば、A社(主たる事業所)からの給与のほか、B社(従たる事業所)からも給与がある場合、「市民税・都民税申告書」表面の事務処理欄に「A社以外の給与分は普通徴収を希望します」と記載することで、副業であるB社の給与に係る個人住民税は普通徴収を選択できます(東京都X市の場合)。この方法を選択することで、主たる事業所が副業を禁止していても、副業していることを隠すことができてしまうのです。

 従来から副業を盛んに行う地域性からなのかはわかりませんが、租税の徴収方法は法律の規定に則り行い、地域により異なる運用がされることは望ましいものではないと考えられます。

(注1)この規定により、主たる給与以外の収入の有無が主たる事業所に通知されるため、就業規則で副業を禁止している事業所においては、許可を受けずに副業をした場合には、問題が生じます。

最近の記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事
PAGE TOP