【国際税務教室】海外の口座で受け取る預金利息

  社会経済のボーダレス化により、日本に居ながら国外の金融機関において資金運用を行うケースもみられます。このような場合、国外の口座で受け取る預金利息については、利子所得として確定申告をする必要がある事から、注意が必要です。具体的に見れば、以下の通りです。

 所得税法上、国内に生活の本拠がある者は居住者とされます。その場合(※1)、全世界の所得が課税の対象となることから、国外の口座で受け取る預金利息も課税の対象となります。

 国内の口座で受け取る預金利息は、原則として、20.315%の税率にて所得税・復興特別所得税及び地方税が源泉徴収されることにより課税関係が完結となる源泉分離課税の対象とされていることから(※2)、あらためて確定申告をする必要がありません。他方、国外の口座で受け取る預金利息は、日本の所得税等は課税されていないことから、源泉分離課税の対象とされておらず(※2)、総合課税の利子所得として確定申告を行うことが必要となります(※3)。

 国際的な租税回避や脱税に対抗するため、各国の税務当局が国際基準に従って非居住者の金融口座情報を自動的に交換する制度が、ワールドワイドに運用されています。わが国の初回の交換においては、64ヵ国・地域から日本の居住者に係る(日本国外の)金融口座情報が、55万件受領されており(※4)、それには利子等の年間受取総額といった情報も含まれています。このような制度を踏まえた上で、適正な申告が求められます。(※1)所得税法上の非永住者は除きます。(※2)措法3条 (※3)給与所得者及び公的年金受給者で一定の要件を満たす場合には、申告が不要な場合があります(所法121条)。(※4)2018年(平成30年)10月 国税庁「CRS情報の自動的情報交換の開始について」

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