インボイス制度による免税事業者への影響①

  2019年10月に消費税率が10%に引き上げられ、1年半が経過しました。

 この増税の陰に隠れがちですが、2023年10月より、日本でも適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)が導入されます。この制度の導入こそ、多くの個人事業者や中小企業にとっては、増税よりインパクトが大きいのではないでしょうか。

 そこで、今月号より数回にわたり、消費税について考えてみたいと思います。

 日本における消費税の議論は1970年代より始まり、1989年竹下内閣により導入されました。日本の消費税は欧州の付加価値税(VAT)を倣って設計された制度ではあるが、1978年大平内閣、1886年中曽根内閣でそれぞれ廃案となった経緯があるため、欧州では付加価値税と不可分一体であったインボイスを、日本では導入を見送らざるを得なかったという背景があります。

 そもそも、このインボイスとは一体何であろうか?

 消費税は、事業者が産み出した付加価値に着目して課税される税で、具体的には売上金額に含まれる消費税から、仕入金額に含まれる消費税を差し引いた金額を、事業者が国に納めるもので、この仕入金額に含まれる消費税を差し引く技術を「仕入税額控除」といい、仕入税額控除を正確に行うために必要な資料が「インボイス」である、と理解していただければ大丈夫です。(次稿以降で、現行制度の問題点やインボイス制度の導入に伴う影響などを、数回にわたり解説します。)

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