インボイス制度による免税事業者への影響③

前回は、免税事業者が消費税計算をしてしまうと、消費税を納めなくてもよいことによる利益が出てしまうことを確認しました。

今回は、免税事業者であるA商店から商品を購入したB商店が消費税の課税事業者であった場合に生じる問題点を見ていきたいと思います。

B商店は、540円あるいは550円で商品を仕入れ、一般消費者に660円で販売する場合に、現行制度(請求書等保存方式)では、A商店が課税事業者であるのか免税事業者であるのかを問わず、その商品が非課税物品であるときを除き、その商品を消費税込みの金額で仕入れたものとし、消費税の計算をすることになります。(前者の場合、60円―49円=11円、後者の場合、60円―50円=10円が、それぞれB商店が納付する消費税となります。)

しかし本来であれば、A商店は免税事業者であるため、A商店の販売価格(B商店の仕入れ価格)には消費税は含まれていないはずです。なので、B商店の消費税計算において、仕入れに係る消費税は存在せず、上記いずれの場合も、60円-0円=60円がB商店の納めるべき消費税となります。つまり、60円と上記の11円との差額49円、あるいは10円との差額50円をB商店は納めなくてもよいことになっているのです。

前回のA商店の納めなくてもよいことによる利益、およびB商店の納めなくてもよいことによる利益を「益税」と言います。

次回は、インボイス制度でこれらがどのように変わるのかをお話しします。

最近の記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事
PAGE TOP