電気通信回線を介した著作物の取引と消費税

経済のデジタル化により、インターネット等の電気通信回線を介したデジタルコンテンツの利用も一般的です。これらにおいては、海外の事業者が配信するサービスを利用する場合も少なくありません。そのような場合、消費税の課税関係に注意が必要となります。

消費税法上、課税対象は「国内において事業者が行った資産の譲渡等」とされることから、国外取引は消費税の課税対象外の取引となります。この場合、当該取引が国内で行われたか否かの判定(以下、「内外判定」とします)は、原則的には、当該取引が資産の譲渡又は貸付の場合には、その資産の所在場所(無形資産の場合は譲渡及び貸付を行う者の住所地)により、役務の提供の場合には、役務の提供が行われた場所によりなされます。しかし、当該取引が電気通信回線を介して行われるソフトウェアの配信などといった「電気通信利用役務の提供」に該当する場合には、上記の原則とは異なり、役務の提供を受ける者の住所等により内外判定がなされます。

インターネット等を介したデジタルコンテンツサービスにおいては、著作物(※1)を取引することも多いなか、当事者間では、どのような取引を行っているのかについての認識が曖昧であるケースも散見されます。消費税法によれば、電気通信利用役務の提供には、電気通信回線を介して行われる著作物の利用の許諾に係る取引が該当するのに対して、著作物の譲渡・貸付に付随して電気通信回線を介して行われる著作物の受け渡し等は含まれないものと解されます(※2)。電気通信回線を介して著作物の取引を行う場合には、取引内容の整理・把握が必要となります。(※1)著作権法2条1項1号に規定する著作物をいいます。(※2)消費税法2条1項8号の3。

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