【速 報】 2021年上海市の最低賃金と社会保険基数について

従来上海市では毎年4月から社会保険及び住宅積立金基数が変更され、これに合わせて最低賃金の変更が発表されていました。これに対して、昨年(2020年)からは、社会保険及び住宅積立金基数の変更は7月1日からとされています。また、昨年は上海市では最低賃金の変更が実施されませんでしたが、2021年の最低賃金に関しては、7月1日より適用されるものとして、既に変更内容が発表されております。今回は、7月1日から変更となる2021年の上海市の最低賃金と、社会保険料及び住宅積立金の基数について説明いたします。

1.2021年の『最低賃金』

中国では、『最低賃金』は省(及び直轄市)ごとに確定されます。直轄市である上海市では、『最低賃金』は一律に設定されますが、省においては、省の中の各都市を一定の基準で分類し、この分類ごとに『最低賃金』が設定されるのが一般的です。

会社は、賃金の支給に当たって、個人が負担すべき社会保険料や個人所得税を会社が源泉徴収、納付しなければなりません。『最低賃金』として規定される賃金は、これら社会保険料や個人所得税を控除した後の手取金額を意味します。

そのため、会社の従業員に対する最低限の給料負担額は、『最低賃金』に社会保険料(住宅積立金を含む)の個人負担額、及び個人所得税額を加算した金額となります。

■2021年7月1日から適用される上海市の最低賃金と会社の給料負担額

最低限の給料負担額~2021.06.302021.07.01~
最低賃金 2,480 RMB 2,590 RMB
個人負担の社会保険料(10.5%)の最低限度額518 RMB627 RMB
個人負担の住宅積立金(7%)の最低限度額(※1)174 RMB181 RMB
個人所得税0 RMB0 RMB
会社の給料負担額(給料総額)3,343 RMB3,398 RMB
(※1)住宅積立金の最低限度額は前々年度の最低賃金を基数として算出される金額となりますが、通常の雇用においては適用されることのない金額であるものと考えられるため、当年度の最低賃金を基礎として計算しております。

2.社会保険料の基数の変更

上海市では、昨年(2020年)から毎年7月1日に社会保険料、住宅積立金の基数が変更されることとなりましたが、この基数は、各個人が前年(1月1日~12月31日)に支給を受けた賃金(以下、「年収」とします。)の月平均の金額とされます。年収には、賞与や特別一時金、残業代や諸手当も含まれます。

一方、社会保険料の基数の最上限及び最下限について、上海市では、上海市の前年の『平均月額賃金』の3倍を基数の最上限に、60%を最下限に設定しています。この『平均月額賃金』は、統計局が発表する前年の『平均賃金』を基に12ヶ月で按分して計算され、毎年基数が変更される7月1日前後に人力資源と社会保障局より発表されます。また、住宅積立金の基数の最上限及び最下限については、上海市では、上海市の前々年の『平均月額賃金』の3倍を基数の最上限に、前々年度の最低賃金を最低限に設定しています。

なお、上記を前提としつつも、新型コロナウィルス感染拡大による企業への影響を考慮し、7月1日から適用される社会保険料基数の最上限は31,014 元(平均賃金の3倍で上記規定通り)、最下限は5,975 元が適用されることとされています。

3.従業員の雇用にかかる最低限の人件費の変動

会社が上海で従業員を一人採用することにより発生する人件費の最低限度額は、上記の「会社の給料負担額(給料総額)」と「会社の社会保険料(住宅積立金を含む)負担額」を合計した金額となります。この人件費の最低限度額は、変更前に対して約7.6%の上昇となります。前年は新型コロナウィルスの感染拡大の影響により人件費の最低限度額についても変動がありませんでしたが、前年を除きますと毎年の人件費の最低限度額の上昇率は維持されているものと考えられます。(2020年:変化なし、2019年:約5.3%、2018年:6.9%)。

■平均月額賃金と社会保険料基数の下限

最低限の社会保険料負担額~2021. 06.302021.07.01~
(前年の平均月額賃金)(9,580 RMB)(10,338 RMB)
(社会保険料基数の下限)(4,927 RMB)(5,975 RMB)
会社負担の社会保険料(27.5%)(※2)の最低限度額1,355 RMB1,643 RMB
会社負担の住宅積立金(7%)の最低限度額(※1)174 RMB181 RMB
会社の社会保険料(住宅積立金を含む)負担額1,529 RMB1,842 RMB
(※1)住宅積立金の最低限度額は前々年度の最低賃金を基数として算出される金額となりますが、通常の雇用においては適用されることのない金額であるものと考えられるため、当年度の最低賃金を基礎として計算しております。
(※2)労災保険は、業種によって料率が異なりますが、上記表中では、0.5%の料率を前提として計算しております。

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