インボイス制度による免税事業者への影響④

前回まで、請求書等保存方式の場合、A商店(免税事業者)がB商店(課税事業者)へ商品の販売をした場合について「益税」が生じることを確認しました。

この益税を封じるために2023年10月よりインボイス制度が導入され、これにより事業者が仕入税額控除を受けるためにはインボイスの交付を受けなければなりません。

事業者がインボイスを発行するには、課税事業者であることが必要で、かつ事前に税務署に届出て登録番号を取得する必要があります。そのため、免税事業者は、あえて課税事業者を選択しない限り、インボイスを発行することができず、入り口で制度から除外されてしまいます。

これにより、B商店が従来通り仕入税額控除を受けるためには、仕入先をA商店から課税事業者であるC商店に変更することで対応してゆく可能性があります(この場合A商店は取引先を失うことになります)。あるいは、B商店がA商店より経済的優位にある場合には、A商店に消費税相当分の値引きを求め、キャッシュアウトが不利にならないようにする可能性があります(この場合、A商店値引き分の利益を逸失することになります)。

いずれの場合も、免税事業者であるA商店にとって厳しいものとなります(あえて課税事業者を選択しても然り)。益税を封じることは必要であるが、事業者の経済活動にバイアスをかけるような税制改正について賛否議論がありますので、注視が必要です。

免税事業者が今後必要な税務戦略については、別の機会にお話ししたいと思います。

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