海外赴任とストックオプション(外国税額控除)

新株予約権(以下、「ストックオプション」とします)は、権利付与から権利行使を通じて取得した株式の譲渡まで長期間を要することから、その間に権利を付与された者が海外赴任を行うケースもみられます。所得税法上、適格とされるストックオプションに対する課税は、居住者、非居住者の区別なく株式の譲渡時まで繰り延べられます。したがって、税制適格となるストックオプションの付与を受けた者に、権利付与から株式の譲渡までの間に、海外赴任等による非居住者の期間が存在したとしても、株式の譲渡時まで課税は繰り延べられます。他方、わが国において税制適格とされるものであっても、赴任先国では税制非適格として権利行使時に課税を受ける場合も想定されます。そのような場合、帰任等によりわが国の居住者となった後の株式譲渡に係る所得税申告に際しては、外国税額控除の適用について注意が必要です。

 所得税法上、非居住者の期間内に生じた所得に対する外国税額は、外国税額控除の対象外とされます(※1)。それにより、税制非適格として権利行使時に赴任先国で課税された外国税額は、非居住者の期間内の所得に対するものとして、外国税額控除の対象外に見えます。しかし、所得税法上、ストックオプションの権利行使時の所得は給与所得に該当し(※2)、当該給与所得の収入すべき時期は権利行使日とされる(※3)ことから、権利行使日が日本帰任後(居住者となった後)の場合には、赴任先国で赴任期間に応じて課税された外国税額であっても、居住者の期間に生じた所得に対する外国税額として、外国税額控除の対象となります。 (※1)所法95条1項、所令222の2条4項1号 (※2)所基通23~35共-6(1) (※3)所基通23~25共-6の2

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