輸出免税となる取引

海外の事業者へ物品の譲渡を行う場合、消費税の取り扱いに迷うことも少なくありません。

 消費税法上、物品の譲渡を行う場合、当該物品の譲渡が国内取引に該当するときには、課税の対象となります。他方、物品の譲渡が国内取引に該当する場合であっても、その物品が輸出される場合には、消費税が免税(消費税の課税の対象から除外することに加えて、その仕入れに含まれていた消費税額を控除・還付することにより、実質的に税負担をゼロとすること。以下、「輸出免税」とします。)とされます。それでは、どのような取引が輸出に該当するのでしょうか。

 消費税法上、輸出とされる物品の譲渡とは、当該物品を「外国に仕向けられた船舶又は航空機に積み込むことによって当該資産の引き渡しが行われるものをいう」(※1)と解されています。したがって、外国に仕向けられた船舶又は航空機への積み込みよりも前の段階において、買主に目的物の引き渡しが行われるといった取引は、仮にその後、当該物品が通関され、外国に仕向けられた船舶又は航空機搬入されているとしても、消費税法上の輸出には該当しないと考えられることから、輸出免税の取り扱いは受けられないものと考えられます。

 このように、貿易取引によって海外に物品の譲渡を行うすべての場合において、輸出免税が適用されるというわけではなく、輸出免税の適用には、当該貿易取引が消費税法上の輸出に該当する必要がある(※2)ことに注意が必要といえます。

(※1) 東京地判平成18年11月9日 (※2) 加えて、免税の適用を受けるためには、消費税法において定められた輸出取引等の証明がされたものといった条件を満たす必要があります。

最近の記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事
PAGE TOP