肉用牛免税(肉用牛売却所得の課税の特例)適用者の総所得金額

肉用牛農家の経営の安定化と国産牛肉の安定供給を目的として、肉用牛の売却による農業所得の課税の特例(以下、「特例」とします。)が設けられています。当該特例は、農業を営む個人及び農地所有適格法人が飼育した肉用牛を所定の家畜市場等において売却し、かつ1頭当たりの売却金額が免税基準価額未満である場合には、年間売却頭数1,500頭を上限として、売却により生じた所得に対する所得税や法人税を減免する制度となっています(※)。

所得税法上、扶養控除対象者の判定や、雑損控除、医療費控除、寄付金控除、事業専従者控除等の控除額の計算を行う場合、その者の所得金額の合計額(以下、「総所得金額」とします。)を基礎のひとつとして判定や計算がなされます。その場合、当該特例を適用する個人の総所得金額は、いくらと認識するのでしょうか。

農業を営む個人について、この特例を適用し確定申告を行う場合、①青色申告決算書等により、当該特例適用前の所得金額を計算した後に、②「肉用牛の売却による所得の税額計算書(兼確定申告書付表)」を使用して、当該特例の適用を受ける所得金額の計算を行い、③ ①から②を控除した残額、すなわち当該特例を受ける所得金額を除いた所得金額を、確定申告書の農業所得金額欄に転記を行った上にて、所得税額の計算を行うことになります。したがって、確定申告書上の所得金額の記載のみからすれば、当該特例の適用を受ける者の農業所得は、特例適用を受ける所得金額を除いた金額(特例の適用により減額された金額)に見えます。しかし、当該特例は所得を減免するものではなく、所得税を減免する措置である事から、当該特例を受ける個人の総所得金額は、(確定申告書に記載されるの所得金額が、特例適用後の金額となっているとしても)当該特例の適用前の所得金額となることに注意が必要です。(※)租税特別措置法25条、67条の3 

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