農地所有適格化法人の完全子会社(100%子会社)化

企業の成長力を高めるため、権限と責任の明確化や最適な経営資源の配分などの視点から、企業経営をグループ化するケースも見られます。そのような場合、税制上、適格組織再編やグループ法人税制の適用が可能とされる完全子会社化(100%子会社化)の構築が、有力な選択肢の一つとなります。

農地所有適格法人をグループ化する場合、原則的には、農地法上の議決権要件及び役員要件(※1)を満たす必要があることから、農地所有適格法人の要件を満たした形で完全子会社とすることはできません。しかし、認定農業者であり、かつ農地所有適格法人の要件を満たす株式会社の場合、農業経営基盤強化促進法(以下、「基盤強化法」とします。)における、要件の緩和措置(①議決権要件の特例、②役員要件の特例)(※2)を活用することにより、農地所有適格法人の要件を満たした形で完全子会社化を行うことが可能となります。

基盤強化法の ①議決権要件の特例によれば、子会社が親会社からの出資に関する事項を記載した農業改善計画について、市町村からの認定を受けた場合には、親会社によって子会社の1/2以上の議決権の取得することが可能となります。しかし、その場合においても、農地法上の役員要件に従い、子会社の役員の過半を子会社の農業に常時従事する構成員(株主)とする必要があることから、完全子会社とすることができません。

しかし、加えて ②役員要件の特例を満たす場合、すなわち、親会社の常時従事者かつ構成員(株主)である役員に子会社の役員を兼務させ、かつ、子会社の農業に30日以上従事させるなど、一定の要件をみなす場合には、当該兼務役員が、子会社の農業に常時従事する構成員(株主)たる役員とみなされる(当該兼務役員は子会社の構成員(株主)でなくてもよいことになる)ことから、完全子会社とすることが可能となります。

(※1)農地法2条3項2~4号(※2)農業経営基盤強化促進法14条1項、2項

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