外国税額控除の適用時期(所得税法)

日本国内の証券会社を通じて外国の株式や債券などに投資を行う者も散見されます。特定公社債とされる外国の債権の利子(※1)や上場外国株式から配当(※2)を受け取ることにより、確定申告を行うこともあるかと考えます。そのような場合には、外国税額控除の適用を受けることができます。外国税額控除とは、国際的二重課税を防止することを目的とした制度であり、所得税の場合、対象となる外国税額は、外国の法令に基づいて外国又はその国の地方公共団体によって、個人の所得に課税される税額が対象となります。法令上、外国税額控除は、居住者が源泉地国に外国税額を「納付することとなる日」の属する年分に適用されます(※3)が、実務的には、この適用時期について迷う場合も少なくありません。

 「納付することとなる日」とは、租税債務が確定する日と解されており、具体的には、①申告納税方式による場合には、申告書を提出した日、②賦課課税方式による場合には、賦課決定の通知があった日、③源泉徴収による場合には、対象の所得が支払われた日の属する年分を適用時期として外国税額控除を行います。なお、継続適用を条件として、納付が確定した税額について、実際に納付した日の属する年分に適用を受けることも認められています(※4)。

 また、外国税額控除は、租税条約が締結されていない国で課税された所得税についても、期限後申告、修正申告、更正の請求においても適用することができます。

(※1)一般公社債の場合には「差額調整方式」による源泉分離課税とされることから確定申告は不要となります。(※2)源泉分離課税の選択をすることができます。(※3)所得税法95条1項(※4)所得税基本通達95-3

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