退職金について考える

 フジテレビが50歳以上かつ勤続10年以上の社員を対象に希望退職者の募集を発表し、優遇措置として、通常の退職金に加え特別加算金(2018年希望退職時には最大でプラス7千万円であった)が支給されることが、今年1月に発表されました。同社は90億円を退職金による特別損失として計上する予定なので、60人程度が応募しているとの報道より推計すると、1人当たり1億5千万もの退職金を受け取ることになります。

 仮に勤続年数30年であった者が1億円の退職金を受け取った場合、税金は1,887万9,900円(所得税・復興特別税は1,462万9,900円、住民税は425万円)となります。一方で、これが退職金ではなく給与であれば、税金は4,995万7,300円(各種控除は考慮しない)となり、給与課税に比べ相当優遇されているのがわかります。

 これは「退職所得は老後の生活保障的な最後の所得であることにかんがみ、その担税力は他の所得に比べてかなり低い」(昭和42年12月政府税調中間答申)との考えにより税計算に優遇措置が設けられているためである。

 一般的には老後資金の目安は3,000万円だといわれています(総務省の家計調査報告などを参考に生命保険会社等が試算している)。これと比較すると、このケースのような退職金全額を、老後の生活保障のために優遇規定を受けるが妥当なのか・・・という議論もあります。

 退職金制度のない会社が全体の2割に達する今日において、退職金に関し過度な優遇規定を残したままでよいのか、考えてみる必要がありそうです。

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