企業グループ内役務提供の独立企業間価格

多国籍化した企業グループにおいては、経営や財務・労務の管理、営業・購買・物流の支援、経理等の事務といった業務を、グループ内部で相互に提供する活動が散見されます。このような幅の広い活動は企業グループ内役務提供とよばれ、移転価格税制上、当該活動に経済的又は商業的価値が認められる場合には、当該活動に係る適正な対価を提供先のグループ企業から回収する必要が生じます。その際、回収する価格について、迷う場合も少なくありません。

「移転価格事務運営要領」(以下、「要領」とします)によれば、総原価を5%マークアップした価格をもって独立企業間価格とする方法(※1)(以下、「簡易な算定方法」とします)と、総原価の価格をもって独立企業間価格とする方法(※2)(以下、「総原価法」とします)の二つの算定方法が定められています。これらは、どのように区分して適用されるのでしょうか。 要領によれば、簡易な算定方法の適用要件は、役務提供が支援的な性質のものであり、当該法人及び国外関連者が属する企業グループの中核的事業に直接関連しないこととされています。他方、総原価法の適用要件は、①役務提供が当該法人又は国外関連者の本来の事業に付随して行われたもの、又は②役務提供が当該法人又は国外関連者の事業活動の重要な部分に関連していないものとされますが、注書きによれば、当該役務提供に要した費用の額が、当該法人又は国外関連者の原価又は費用の総額の相当部分を占める場合には、総原価法の適用をしないこととされていることから、当該役務提供が、いずれの法人においても主要な事業活動に該当しない場合には、総原価法の適用ができるものと考えます。(※1)要領3-11(1)(※2)要領3-11(3)

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