詐欺による収益って課税されるの?

 山口県阿武町が新型コロナ対策の給付金を誤って20代男性に4,630万円振り込んだ問題で、男性は電子計算機使用詐欺容疑で逮捕されましたが、税金の観点からも、この問題は注目されています。

 それは、所得税基本通達36-1において「・・・その収入の起因となった行為が適法であるかどうかを問わない。」とされており、犯罪により得た収入についても課税される(※)ことが明記されているからです。

 通常、犯罪により収益を得たとしても、まじめに確定申告をすることなど考えられませんが、今回の場合、全国ニュースで報道されているため、課税庁により課税される可能性があります。

 その場合、この収益は「一時所得」に該当するため、課税の対象となる金額は、(総収入金額4,630万円-収入を得るために支出した金額0円-特別控除額50万円)×1/2=2,290万円となり、ほかに収入が無く、所得控除も無いとした場合、所得税額は(2,290万円-基礎控除48万円)×40%-279.6万円=617.2万円、これに復興税2.1%を加算すると約630万円となります。このほかに住民税も課税され、同様に約225万円と計算され、合わせて855万円納税しなければなりません。

※いったんは所得として課税されますが、求償権を行使され、その後において弁済をした場合には、所得が減少するので更正の請求ができますが、法定申告期限から5年を超えて弁済した場合には救済はないと考えられます。※※本稿執筆後に、第三者により約3,500万円が阿武町に返還されています。

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