海外赴任者が行うFX取引(デリバティブ取引)

国境を越えて行われるFX取引や先物取引など、クロスボーダーで行う金融商品取引法の市場デリバティブ取引及び店頭デリバティブ取引の決済より生じる所得(以下、「デリバティブ所得」とします)の取り扱いが変更されています(※1)。

従来は、恒久的施設に帰属するデリバティブ所得を除き、非居住者又は外国法人に係るデリバティブ所得は、国内源泉所得である「国内資産の運用・保有所得」に該当すると取り扱われていたことから、例えば、海外赴任中の者が日本の証券会社を通じて行うFX取引から生じる所得については、国内源泉所得として課税されてきました。このような取り扱いは、国税不服審判所の裁決においても事例が存在しています(※2)。しかし、令和4年度税制改正の大綱において、取り扱いの明確化を行うとされたことを受けて、デリバティブ所得は国内源泉所得である「国内資産の運用・保有所得」に含まれないとする法整備が図られました(※3)。したがって、従前の取扱いが変更されています。

この取り扱いの変更は、過去に遡って適用されるとされている(※1)ことから、過去のデリバティブ所得について所得税を納税しているなど、税金の納めすぎにとなっている者の場合、更正の請求を行うことにより、納めすぎた税金の還付を求めることができます(※4)。

(※1)「クロスボーダーで行うデリバティブ取引の決済により生ずる所得の取扱いについて」令和4年1月 国税庁

(※2)平成31年3月25日東京裁決(裁決番号:(所)平30-115)(※3)改正後の所得税法施行令280条2項二号 (※4)所得税又は法人税の還付を受けるための更正の請求は、法定申告期限から5年以内の場合に限られます。

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