従事分量配当と法人事業概況説明書の従事員等

 財務省令において、法人の事業等の概況に関する書類の法人税確定申告への添付が定められている(※1)ことから、実務上、確定申告書には「法人事業概況説明書」(以下、「概況書」とします)を添付することが一般的です。概況書は法人税申告書のみではわからない当該法人の事情や状況など、事業等の概況を説明するための書類と位置付けられます。記載項目は、事業の内容から、経理の状況、事業形態など多岐にわたりますが、その中のひとつに、当該法人の期末の従事員等の人数を記載する項目があります。

 従事分量配当制を採用する農事組合法人において、この期末の従事員等の人数の記載にあたり判断に迷う場合があります。当該項目には、役員や使用人をはじめとした当該法人の従事員の人数を記載する必要がありますが、従事分量配当を受ける組合員は、ここでいう従事員に該当するのでしょうか。

 国税庁の「法人事業概況説明書の書き方」の記載要領によれば、当該欄には役員、使用人をはじめ、職種ごとの人数を記載するものとされ、当該職種の例として、「工員、事務員、技術者、販売員、労務者、料理人、ホステス等」が挙げられています。この事から、ここでいう従事員とは、役員や使用人に限られず、当該法人の業務に従事するその他の者を含む概念と言えます。また、法人税法によれば、従事分量配当は、農事組合法人の「事業に従事した程度に応じて分配」されるものとされています(※2)。したがって、法人税法は従事分量配当を受ける組合員を、当該農事組合法人の事業に従事する者と認識しているものと考えます。

 これらからすれば、農事組合法人から従事分量配当を受ける組合員は、概況書の「従事員等」に該当するものと考えられます。 (※1)法規35条五号、(※2)法法60条の二第2項

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