ガソリンスタンドにおける品転

 最近、セルフのガソリンスタンドが一般化してきたため、有人ガソリンスタンドにおいて事業者カード(掛カード)を発行してもらい、月末にガソリンスタンドより請求書が送られてくる、という取引形態をあまり見なくなりました。

 今回は、セルフが普及する前の昔話を。

 この、掛カードにより給油する際には、ガソリンスタンドは車の車番、油種をPOSに入力してから給油するのですが、その際に「品転」という脱税に繋がる行為が散見されておりました。

 品転とは、実際に受けたサービスと異なる内容の請求書を発行する行為で、例えばハイオクガソリンを給油したにもかかわらず、請求書に軽油の記載をするような行為をいいます。

 具体例の1つとして紹介すると…レギュラーガソリン150円/ℓ、軽油120円/ℓとします。

 通常レギュラーガソリンしか給油しない会社の従業員が、会社の掛カードで自分の四輪駆動車に軽油50ℓを給油した場合、そのまま請求書に記載されたら会社に不正使用が発覚されるため「品転」を行い、営業車にレギュラーガソリン40ℓを給油したことにした。

 この行為の問題点は、従業員の不正行為(業務上横領)にガソリンスタンドが加担しただけでなく、会社においても、この場合は消費税の納税が少なくなる(脱税)。通常、会計事務所は顧問先法人の営業車の運行記録の管理はしないため、不正行為に気づかず申告をしてしまい、知らないところで不正に加担していることであろう。 しかし、最近ではこのような不正は減少しており、さらに来秋導入されるインボイス制度が始まると、このような不正が難しくなるため、不正防止に一役を担うものと理解すれば、インボイス制度も決して悪いものでは無いのかも知れない。

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