中国における「外商投資企業」の位置づけと規制について

 外国企業や外国人が中国国内で製造、物販や役務提供といったビジネス展開するためには、中国に法人を設立し、その法人を通じて経営活動を行う必要があります。この意味では、法人の設立は、中国でのビジネス展開のために必須の前提条件、ということができるかと思います。今回は、中国国外から中国に投資して設立された法人(以下、「外商投資企業」と言います。)の法律上の位置づけと、これに対する規制について概説します。

1.中国国内における経営主体

 外国人個人は、中国国内で経営活動を行うことができません。これは、中国国内で個人が経営活動を行うためには、個人事業主(個人経営主体)としての登記と営業許可が必要になりますが、法律上、外国人が個人事業主として登記することは認められていないことによります。そのため、永住居留許可(いわゆるグリーンカード)を保有する外国人であったとしても、外国人個人の名義で経営活動を行うことはできません。 また、外国で設立された法人(以下、「外国企業」とします。)は、一部の例外を除き、中国国内で経営活動を行うことはできません。これは、中国国内で経営活動を行うためには、経営主体としての登記と営業許可を取得する必要がありますが、法律事務所や金融機関など一部の例外を除き、外国企業は経営主体としての登記が認められないことによります。

2.外商投資企業の位置づけ

 このように、一部の例外を除き、外国人及び外国企業は、中国国内での経営活動が認められません。一方、中国国内法に基づき設立された法人は、経営主体としての登記及び営業許可を得ることにより経営活動を行うことが可能とされます。この点に関して、中国の外商投資法及び公司法は、外国人及び外国企業が国外から投資して法人(外商投資企業)を設立することを認めています。そのため、外国人及び外国企業は、中国に投資して設立した外商投資企業を通じることにより、中国国内での経営活動を行うことが可能となります。

3.外商投資企業に対する規制

 外商投資法が施行される2020年1月1日以前、外商投資企業は、いわゆる外資三法と呼ばれる法令により規制されていました。この中では、外商投資企業は、公司法に基づき設立される会社と区別されており、出資者、投資計画、経営計画などの投資計画を提出し、中国政府による批准を得なければ設立が認められませんでした。

 現在は、外商投資法の施行によりいわゆる外資三法が廃止されるとともに、投資計画の事前審査や中国政府による批准の手続きは廃止され、公司法に基づく手続きにより外商投資企業を設立することが可能となりました。ただし、現在においても、外商投資企業に対しては、政府が規定するネガティブリスト(負面清単)に該当する項目に対しては投資や経営内容に関する特別措置が適用されることとされており、これらの項目については、投資や経営が禁止される、もしくは条件を満たすことを前提として投資や経営が認められることとなります。

最近の記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事
PAGE TOP