不動産所得の事業的規模について(50台基準)

 不動産所得の計算において、いわゆる5棟10室基準(※1)を満たす貸付を行っている場合には事業的規模で行われているものとして、青色申告の場合65万円控除が認められるほか事業的規模以外で行われている場合と比べ種々の優遇規定が設けられております(※2)。
 この5棟10室基準は通達の規定であるため、あくまでも目安であり、それが絶対というものではありません(この基準を下回っていても事業的規模とされた例として昭和52年1月27日裁決がある。反対、平成16年9月27日裁決ほか)が、これに固執する税理士や税務職員もいるのは事実です。
 ところで、通達には明記されておりませんが、50台基準というのをご存じでしょうか?
 これは、貸駐車場の基準で「1室の貸付けに相当する土地の貸付件数を『おおむね5』として判定する」というものであり、例えば、貸室8室と貸地10件がある場合に貸室の数のみで事業的規模であるか否かを判定するのは誤りであり、「貸地10件は貸室2室に相当する」ことから、この場合は10室で事業的規模に該当するとされております(※3)(※4)。
 これも通達と同様に法律ではないため、拘束されるものではありませんが、特に反証がない限り、これを満たす場合には事業的規模としても問題ないと考えられます。(※1)所基通26-9(※2)所法51①②ほか(※3)東京国税局課税第一部個人課税課、課税第二部消費税課の所得税消費税誤りやすい事例集(令和4年12月)(※4)ここでいう貸駐車場とは、貸室の利用者用以外の者が利用する、他の場所にある駐車場が予定されていると考えられます。

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