【国際税務教室】 外国税額控除制度における保存要件と添付要件 

わが国の法令によれば、国際的二重課税の排除措置として外国税額控除制度が採用されています(※1)。法人税法により、内国法人が外国税額控除の適用を受ける場合には、控除対象外国法人税の額を課されたことを証する書類等の保存が義務付けされています(※2)。この場合、保存が必要とされる書類が、どのようなものであるのかについて、迷う場合が少なくありません。実務的には、申告書の写し、又は現地の税務官署が発行する納税証明書等のほか、更正もしくは決定に係る通知書、賦課決定通知書、納税告知書や源泉徴収票など(以下「タックス・レシート等」とします。)が、それに該当するものとして取り扱われています(※3)。この法人税法上の外国税額控除の適用における、タックス・レシート等の保存要件は、平成21年度税制改正によって、それまでの添付要件が緩和されたものであります。

 他方、所得税法による居住者の外国税額控除制度については、改正がされておらず、タックス・レシート等の添付要件が継続しています。すなわち、所得税法により、居住者が外国税額控除の適用を受ける場合には、タックス・レシート等の確定申告書への添付が必要となります。具体的には、申告書の写し、又はこれに代わるべきその税に係る書類の添付に加えて、その税が既に納付されている場合には、その納付を証する書類の添付が必要となる(※4)ことから、注意が必要です。 

(※1)外国税額の損金(必要経費)算入も選択することができます。(※2)法人税法69条15項、法人税法施行規則29条の3第2項(※3)法人税基本通達16-3-48(※4)所得税法95条10項、所得税法施行規則41条1項三号

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