海外子会社からの利息に対する消費税の取扱い

 日本の低金利を背景として、海外子会社の資金需要に対して、日本の親会社からの貸付で対応するケースも見られます。親子ローンなどと呼ばれるこのような取引は、移転価格税制上、適正な金利を設定する必要がある事から、親会社は海外子会社から利息を徴収していることが一般的といえます。このような場合、親会社の消費税申告に際して、注意が必要です。

 貸付利息は消費税法上、非課税取引に該当します(※1)。この場合、債務者が非居住者である場合には輸出免税の取引とされる(※2)ことから、仕入税額控除の計算を行うにあたっては、当該貸付利息は、課税売上割合の分母だけではなく、分子にも含めることができます(※3)。この取り扱いは「非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」(以下、「特例」とします)と呼ばれていますが、非居住者の債務者から徴収する全ての利息に無条件に適用されるものではありません。適用には、輸出されたことについて証明がされていることが必要となります。

 具体的に見れば、約書等において、①貸付者の名称及び住所等、②貸付年月日、③貸付内容、④利息(利率)、⑤借入者の名称及び住所が記載されている場合には、当該貸付利息は輸出取引として証明がされたものとして、特例の適用ができます(※4)。

 親子ローンの場合、口頭での契約に留まり、金銭消費貸借契約書(Loan Agreement)の作成がされない場合も想定されます。特例の適用については、注意が必要です。

(※1)消法6条1項、(※2)消法7条1項5号、消令17条3項、(※3)消法31条、(※4)消規5条1項4号

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