国際取引等の課税に係る更正決定期間

CRS(共通報告基準-  Common Reporting Standard)を活用した税務調査が増加しています。現在、各国の税務当局の間で、非居住者の金融口座情報をOECDが策定した国際基準に従って自動的に交換する制度が、ワールドワイドに運用されています。この国際基準がCRSとなります。

 ところで、租税法上の法律関係を無期限に不確定の状態にしておくのは好ましくないとの見地から、課税当局により税額等の更正決定等ができる期間には制限があります。これを除斥期間といいます。通常の場合の除斥期間は、法定申告期限から5年間とされます(※1)が、国外の取引等に関する課税については、別の取扱いが設けられています。

CRSに基づく情報は、調査の端緒情報とはなるものの、課税処分に至るには、税務調査を通じた的確な事実認定が必要とされます。しかし、全ての納税者の協力を得られるとも限りません。そのような場合、課税当局は、国外に赴いて事実関係を聴取することが執行管轄権の制限により困難とされることから、租税条約に基づく課税当局間の情報交換制度を活用して、事実関係の確認を行うことになります。これには相当の期間を要することもあります。したがって、除斥期間が満了してしまうことも想定されることから、国外取引又は国外財産について、① 納税者が書類を提出・提示しない場合において、② 税務当局が租税条約の規定に基づき、外国の当局に対して情報の入手・提供を要請した一定の場合には、通常の除斥期間に関わらず、相手国等に対して情報提供要請に係る書面が発せられた日から3年間は更正決定を行うことができるとされています(※2)。(※1)通則法70条1項 (※2)通則法71条4項

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