【国際税務教室】 非居住者への設計料など、図面の作成対価の支払い 

 非居住者・外国法人(以下、「非居住者等」とします)への課税は、居住者・内国法人と同様の申告納税方式と、支払者による源泉徴収を通じて所得課税が行われる源泉徴収方式の二つによります。非居住者等に源泉徴収方式の対象となる国内源泉所得の支払いを行う場合には、支払者に源泉徴収義務があることに注意が必要です。

 実務的には、非居住者等への支払いに際し、源泉徴収義務の有無について判断に迷う場合も少なくありません。例えば、国外の企業に設計料を支払うなど、図面等の作成を依頼するケースは、どのように判断するのでしょうか。その場合、図面作成の対価が「使用料」に該当すれば、租税条約による免税規定が適用されない限り、源泉徴収義務が存在することになります。

 それでは、図面作成の対価が「使用料」に該当するのは、どのようなケースでしょうか。

 OECDモデル条約の解釈指針とされる、OECDモデル条約コメンタリーによれば、未だ存在していない図面を新たに作成してもらう場合の対価は(「使用料」には該当せず)「事業所得」に該当し、他方、既に完成済みの図面について、著作権者が第三者に対して権利を付与する場合の対価は「使用料」該当するとされています(※)。支払者の源泉徴収義務を認識し、使用料の範囲について、正しい判断が求められます。(※)租税条約の締結がない場合、国内法で判断を行います。所得税基本通達では、対価の額が、工業所有権等を使用した回数、期間、生産高又はその使用による利益の額に応じて定められるもの、図面の作成に要した経費の額に通常の利潤の額を加算した金額に相当する金額を超えるもののいずれかに該当する場合には、使用料に該当し、その他のものは人的役務の提供の対価に該当すると規定されています(所基通161-36)。 

最近の記事

  • 関連記事
  • おすすめ記事
  • 特集記事
PAGE TOP