国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮記帳

固定資産の取得に際して国庫補助金等(以下。「補助金等」とします)の交付を受ける場合には、圧縮記帳の適用により、補助金等の交付を受けた事業年度の課税を繰り延べることができます。

補助金等は、交付決定日の属する事業年度に益金に計上されます。他方、当該補助金等により取得した減価償却資産は、原則的には法定耐用年数に応じた期間で損金に計上されます。その場合、益金と損金の計上のタイミングに差が生じることから、一時的な課税を受けることになります。そのような状況では、補助金等の交付目的が果せない結果となることから、一定の要件の下、圧縮記帳という特例が設けられています(※1)。

圧縮記帳とは、補助金等の金額を限度として資産の取得のために支出した金額について損金算入を認めるものであり、①固定資産の取得に充てるための補助金等の交付を受け、②その補助金等をもって交付目的に適合した固定資産の取得をした場合において、③その補助金等の返還を要しないことがその事業年度終了の時までに確定した場合に、④帳簿価額を損金経理により減額をする等といった要件の下、適用されます。

実務的には、③の要件を満たさない場合、すなわち、補助金等の返還を要しないことが、その事業年度の終了の時までに確定しないといったケースにおいて、圧縮記帳の適用に関して戸惑う場合も存在します。

そのような場合においても、交付を受けた事業年度に補助金等の相当額を「特別勘定」として損金算入を行った上、返還を要しないことが確定した事業年度において、「特別勘定」の益金算入と圧縮記帳を行う事により、課税を繰り延べることができます(※2)。

(※1)法人税法42条。なお、個人事業の場合、補助金等を総収入金額に算入した上で、固定資産の取得費を調整するといった計算がなされます(所得税法42条)。(※2)法人税法43条

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