中国への渡航に関わる出入国管理の基礎について

 新型コロナウィルスの感染拡大に伴う移動規制が解除されたことに伴い、日本-中国間での人の移動が徐々に増加しつつあります。今回は、日本人が中国へ渡航するにあたり必要となる出入国管理上の基礎知識について整理します。

1.中国における出入国管理

 中国では、出国入国管理法以下の法令において、外国人の中国への入国及び滞在、出国に関して規定されています。中国国民と異なり、外国人は中国に入国してから出国するまで、中国から許可された範囲内において活動することが認められるにすぎません。そのため、入国から出国までの過程において、①法令に規定される手続を怠らないこと、②許可された条件を逸脱しないこと、という観点での注意が必要となります。

2.入国前の手続

 中国への入国にあたっては、原則として事前に入国目的に基づいた『ビザ(査証)』の申請が必要となります。入国目的ごとのビザの種類は以下の通りとなります。なお、既に中国国内において以下で説明する『居留許可』を取得している場合には、改めてビザの申請は必要がありません。

また、日本パスポート保有者については、特定(就労、取材等)の目的に該当しない限りにおいて、入国からの滞在期間が14日以内であることを条件として、事前のビザ申請が免除されることとされています(以下、『ビザなし渡航』とします。)。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い2020年3月以降『ビザなし渡航』は停止されており、本レポート作成時点(2023年5月20日現在)において再開されていません。

3.入国と入国後の手続き

 中国への到着後、入国にあたって入国審査が行われます。また、入国後は、入国から24時間もしくは48時間以内に臨時宿泊登記が必要となります。この登記は、入国するすべての外国人に対して義務付けられているため、『ビザなし渡航』や以下で説明する『居留許可』を取得している場合であっても手続きが必要となります。

 登記手続きは、宿泊場所を管轄する公安局の派出所にて行うこととされていますが、上海では、上海市出入国管理局のウェブサイトから登記手続きが可能となっており、派出所に出頭する必要はありません。また、宿泊場所がホテル等の宿泊施設の場合には、登記手続きは宿泊施設に対して義務づけられているため、個人が登記手続を行う必要はありません。なお、臨時宿泊登記は、宿泊場所が変わるごとに手続きが必要となります。

4.滞在に必要な手続き

 中国への入国後、『ビザ(査証)』において認められる期間について滞在(以下、『停留』とします。)することが可能です。『停留』については、入国後には手続きは必要ありませんが、期日までに出国しなければなりません。

 一方、入国目的が長期滞在を前提とする場合には、入国から30日以内に『居留許可』申請が必要となります。『居留許可』の申請にあたっては、滞在目的に沿った滞在資格の手配が必要となります。例えば、就労目的の場合には、『就業(工作)許可証』の取得が必要となります。 『居留許可』を取得した場合には、有効期間内において中国国内に滞在することが認められるとともに、一時出国した場合にも改めて『ビザ(査証)』を申請する必要はありません。

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