外国企業への非貿易取引対価の支払に関する            税金の源泉徴収について

ビジネス上、中国現地法人は日本本社を含めた外国企業と取引を行う局面が想定されます。中国では比較的厳しい外貨管理が実施されていることから、国外企業との取引に関しては、外貨管理上問題なく支払いができるか否か、という点に注目されがちです。一方で、税務上は、外国企業に企業所得税や増値税が課税される場合が想定されており、この課税については原則として源泉徴収等の手法で課税されることとされており、この場合には対価の支払を行う中国国内企業に納税義務が発生することとなります。そのため、外国企業と取引を行う局面では、外貨管理と並んで取引にかかわる課税ついても正しい理解が必要となります。今回は、外国企業との非貿易取引にかかわる課税について概説します。

1.外国企業との取引

外国企業との取引は、貿易取引と非貿易取引に大別されます。この分類は外貨管理上の概念に基づくもので、貿易取引とは貨物の輸出入を伴う取引を指し、非貿易取引とはいわゆるサービス貿易を指します。このうち、外国企業の貨物の販売にかかわる取引に関しては、企業所得税の課税上は中国国内に外国企業のPE(恒久的施設)が認定されるような特別な場合を除いて課税されません。一方、増値税の課税上は外国企業との輸入取引に関して13%の輸入増値税が課税されますが、これは輸入者である中国国内企業に対する課税であり、外国企業への課税とは区別されることになります。

このように、外国企業との貿易取引に関しては、特別な場合を除いて中国国内で外国企業にかかわる課税は発生しないため、この点に関して特別に注意する必要はありません。

2.外国企業との非貿易取引にかかわる企業所得税の課税

これに対して、外国企業が中国国内企業との間で行う非貿易取引に関して、外国企業に収入が発生する場合について、以下のような場合には外国企業への企業所得税が課税されます。

■外国企業への企業所得税の課税

項目課税所得税率例示
1.中国国内に外国企業のPEが認定される
場合
みなし
利益
25%支援料、PV費等
2.外国企業が中国国内源泉所得を稼得した場合発生額10%ロイヤルティ、使用料、配当、利息、使用料等

この企業所得税については、該当する非貿易取引対価の支払いを行う中国国内企業が源泉徴収して納税を行うこととされています。そのため、中国国内企業が非貿易取引対価を支払うにあたっては、発生する企業所得税を控除して送金することになります。

なお、源泉徴収にあたっては、事前に税務当局での契約の届出、課税方式及び税率の認定等の手続きを行う必要があります。また、送金額が5万ドルを超過する場合には、外貨管理上、税務局のシステム上で対外支払の届出を行わなければならないこととされています。

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