転売防止、原則先払いに(免税点制度の不適切適用防止)

 令和5年5月22日、政府が訪日客の土産品に対する免税制度を抜本的に見直す検討に入ったと報道されました。以前より問題視されていた「一部の訪日客が、転売目的で免税品の大量購入をし、出国前に転売することで、免税分の利益を不正に得るという問題」に待ったをかける議論になりそうです(財務省発表によると、22年度に税関検査で徴収対象となった消費税額22億円の9割以上が徴収できていない)。
 そもそも輸出物品販売所における輸出免税とは、訪日客が一般的な土産を購入する場合に限り日本の消費税を課税しない(購入しやすくする)という制度で、付加価値税を採用している諸外国においても、同様の制度が存在しています。
 わが国は、一定の要件を満たす購入であれば免税とする「免税方式」を採用しているが、欧州をはじめとする諸外国では、購入時には課税であるが、出国時に税関の承認を受け、事後に還付請求をするという「還付方式」を採用しています。
 今回の議論の方向性であるが、これまでの「免税方式」から「還付方式」へシフトする内容で、購入量が少ないなど明らかに転売目的ではない訪日客に限り、例外的に既存の「免税方式」を利用できるようにした上で、年末までに税制改正の詳細を詰め、早ければ2024年度から実施すると報じられています。
 コロナによる行動制限が廃止され、インバウンド・アウトバウンドが増えることが予想される今日において、この議論の意義は大きいものと考えられます。

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