「定額減税」は総合経済対策になるのか

 11月2日に閣議決定(デフレ完全脱却のための総合経済対策)された「定額減税」とは、納税者及び配偶者を含めた扶養家族1人につき、令和6年分の所得税3万円、令和6年度分の個人住民税1万円の減税を行うというものです。
 このような減税は、過去にも実施されたことがあり、有名なものとして、橋本内閣の「定額減税」、小渕内閣の「定率減税」があります(注1)。
 1997年、橋本内閣が所得税・住民税を合算して一人あたり年間3万8000円の減税する「定額減税」を実施したが、その後政権は混乱し退陣に追いやられました。その後、小渕内閣で99年から所得税を一律20%減税する「定率減税」が実施され2007年まで続きました。
 今回、岸田内閣が減税の方針を示しましたが、国民にはあまり迎合されていないようであります。確かに、減税は国民にとってうれしいものですが、一方で防衛費や少子化対策でお金が足りないと言っている最中の減税発言に戸惑っている人も多いのかも知れません。
 毎年12月に税制改正大綱が取りまとめられますが、なぜこのタイミングで急いだのでしょうか?総合経済対策が機能し、景気への効果を期待したいものです。

(注1) 定額減税は、低所得者も高所得者も同一の3万8000円が減税となるため、低・中所得者層へのメリットがより大きく感じられます。反対に、定率減税は、減税前の所得税額の一律20%が控除されるため、高所得層の方がメリットを感じられます。また、過去に行われた所得税減税は、景気への効果が限定的だった上、選挙での敗北など政権浮揚に必ずしもつながらなかったとされている。

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